2015年09月09日記載
「一件でも多く得意先を回れ」で売上は拡大できない
アジアを中心とする新興国と異なり、我が日本は先進諸国として成熟国家であるため、新たな過度な経済成長を期待するのは難しい。既に家庭内にはモノ余りが目立ち、生活必需品を買い揃える時代は20年も前に終わっているからだ。

失われた20年は、市場が成熟し生活必需品が揃った分岐点から20年と考えることができる。今の日本は成熟国家としての正しい姿であり、デフレ気味の物価安定が継続しているのも日常生活に必要なモノやサービス、娯楽環境がひと通り揃った証であり、手持ちのモノが壊れることもない限り、無理に買い換えるほど逼迫した状況となっていない。経済成長が右肩上がりにならない時代の理由がここにある。

中小企業をはじめとする経営者の中には、高度成長時代で得られた成功体験を、今の時代にも摘要できると信じ、当時の営業スタイルを押し付ける動きをよく見かける。

「一件でも多く得意先を回れ」
「商談時間を増やして受注拡大せよ」

これらの営業手法は、高度成長時代においての鉄則であったし、訪問顧客数の数に比例して売上も拡大できた時代だから通用した。

しかし、今はモノ余りの時代である。既に手元にモノがある状況下で闇雲に訪問回数を増やしても売れる時代ではない。こんな当たり前の時代変化にも気づかずに「とにかく頑張れ」「気合が足りない」、だから売上が上がらないと根性論を持ち出す古い中小企業経営者がなんて多いことか。

昨日、安部総理が自民党総裁を無投票再選となった。これは総裁の席には任期が存在するためであり、多くの民主主義国家ではトップの椅子には必ず任期というものが存在する。ところが中小企業の経営者には法的な取締役任期は存在していても、事実上任期は存在しないとの同じ状態となっている。「任期=健康寿命」が実態であるため、トップ自らが引き際を社員たちに示さない限り、いつまでも古い考え方を社員に押し付る体質がはびこり、売上は伸び悩むことに繋がる。

社員に精神的な努力や訪問回数などの根性論による悟りをする暇があるなら、市場ニーズに見合った販売商材をどう準備するかを経営者として考える時間を割くべきである。ニーズにマッチした販売商材が描けないなら、自ら経営責任を取って身を引く決断を下すべきである。

帰属する社員たちの継続的な幸せを提供する責任を持っているのなら、経営者が自らが任期を定め、売上が拡大できない理由を社員に求める前に、時代の変化対応できない経営能力の無さを自認すべきである。過去の成功体験を今の時代にも摘要させようとする中小企業経営者の姿はあまりにも滑稽である。


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