2015年12月18日記載
4K8K放送の成功のカギは右旋偏波面の再利用にあり
誰も未来を予知することはできない。確率的に高いか低いか等の判定はできたところで、数年先はもちろんのこと、数ヶ月先を予測するのは不可能である。世の中の予想で信頼性が高いのは、朝発表される当日の天気予報ぐらいだろう。

為替変動や株式などの経済専門家の将来予測は全くといって良いほどアテにならないし、まして地震の予測は所詮確率統計論である。しかしビジネスの場合、成功の予想は困難だが失敗の予想はたいていは当たるものである。

去る11月27日、mmbi社は「当初想定していた会員数の獲得に至らず、今後の事業継続が困難な見込みであることからNOTTVサービスを終了することといたしました」と発表した。誰もがサービス開始当初から失敗を予想しており、残念ながらそのとおりの結末となった。損失額は既に500億円を超えているという。

巨大メディアである地上放送キー局ですら、大ヒット番組でも視聴率が20%を超えるかどうかと言われるほど、現在はニーズが多様化している。もちろんNOTTVを愛用しているユーザがいたことも確かだが、NOTTVサービス開始前の経営指針に損益分岐加入者数が600万世帯、安定利益確保には1000万加入が必要としていたことから、サービス開始前の段階から事業失敗することは明らかだった。

NOTTVについては過去本コラムでも幾度か取り上げたことがある。参考までに振り返っていただければ幸いだ。

http://blog.infobuild.jp/?q=NOTTV

さて、昨今話題の4K8K。今後の展開を期待するだけでなく、プライベート空間でも積極的に4K環境整備を進めていく予定だが、総務省が発表したロードマップに記されている4K8Kの放送計画のうち、来年開始するBS 17chのほか、現在使われていないBS/110度CSの左旋偏波帯による放送も計画されている。

左旋偏波帯を使った放送がサービスインすると、私たち一般視聴者は一部のメーカーを除き、現在使用中のBSアンテナでは受信することはできず、新たに左旋偏波面受信にも対応したBSアンテナに買い替えなければならない。

更にマンションなどの共同受信設備で左旋偏波面伝送を可能にする場合を考えると、BSアンテナだけでなく建物内の増幅器や分配器、壁面のテレビ端子の交換まで必要となってしまうのだ。これらの設備機器を全交換するのはどう考えても現実的ではない。

そもそも分譲マンション理事会や賃貸住宅の所有者らが、4K8Kの受信化のためにわざわざ費用をかけてまで改修工事をすることのメリットは少なく、過去、スカパー!のアンテナ受信によるマンション共同受信化伝送が普及しなかった例を振り返っても左旋偏波面での放送サービスは普及しないと私は見ている。

もちろん伝送設備改修以前に4K8Kコンテンツが揃えられるのかとする課題もある。当面は改修工事の必要としないBS 17chを使った試験放送と、平行してIPTV経由やケーブルテレビ局経由での配信をベースに、4K番組普及に向けた地ならしが重要なポジションとなるのは言うまでもない。

私が考える4K8K放送の普及するカギは、事実上使いものにならない左旋偏波利用するのではなく、現在放送中の右旋偏波面MPEG2形式のBSデジタル放送を段階的に中止して、4K8K伝送に最適な最新のHEVC形式での放送形式に移行する方法こそが、将来の4K8K成功に向けた現実的な解ではないだろうか。

なお、これらの見解は、所詮私の個人予想であるから全くアテにならないことを付け加えておこう・・・。


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